In the RABBIT HOLE

楽しく生きていくため、徒然なるままに

飛鳥井千砂の『はるがいったら』を読んで

ストーリー的にはそんなにひきこまれることもなく淡々と進んでいくんだけど、自分の中の安っぽい醜さというか、見ないようにしていた黒ずんだところを文章で突きつけられたような気がして心がひんやりした。主人公の園よりも園のことを恨んでいる脇役の方がそれが鮮明で、息苦しさみたいなものさえ感じる。そんな風に感じるうちは、人間として未未未熟(未熟では表現が甘いくらい未熟という意味)くらいということなのかもしれません。

藤岡陽子の『いつまでも白い羽根』も主人公の後ろめたい気持ちとか、人には言えない感情とか、すごく共感するところはあったけどこういう気持ちにはならなかった。ストーリー全体を通して深い爪痕を残された感じだった。だから作品として記憶に残るのはこっちかな。この話を読んでいる間は、前に新聞で見たキャンドルサービスをしている看護学校の学生さんの写真が頭から離れなかった。なんだかすごく綺麗だなと思って。